水を得たコイだ。広島が1-0の降雨コールド勝ちで開幕3連敗を喫したヤクルトから今季初勝利を挙げた。雨が降り続ける悪条件の中、中盤の6回1死から代打の切り札を投入した新井貴浩監督(46)の勝負勘がズバリ。相手のミスに乗じて先制点を奪うと中継ぎ陣も踏ん張り、8回表終了時に試合終了となった。今季初勝利の6日阪神戦に続く、2度目の雨天コールド勝利。雨を味方に、再び貯金1とした。

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雨中の試合で、新井監督の勘がさえた。両軍無得点で迎えた6回。1死走者なしから投手大瀬良の代打に松山を送り出した。同点とはいえ、まだ中盤。走者がいない状況で代打の切り札投入が流れを変えた。

新井監督 天候の回復が見込めない中で、あそこは勝負に行きました。

起用に応え、松山は追い込まれながら中前打を放った。続く菊池が2ストライクから厳しい内角球に何とかバットに当てて転がすと、投手小川の悪送球を誘った。二、三塁から、2日ヤクルト戦で守備のミスがあった野間が一、二塁間を破った。虎の子の1点が入った。新井監督は「何とかバットに当てて塁を進めたいというキク(菊池)の執念が相手のミスを誘ったのかな」とHランプがともらなかった当たりをたたえた。

プレーボールから降り続ける雨は、やむ予報も弱まる予報もなかった。先制点が大きな意味を持つ。反対に先制を許せば追い込まれる。先発大瀬良は5回まで毎回走者を背負いながら6回まで無失点でしのいだ。2度の中断を挟みながら進んだ終盤も、松本とターリーで踏ん張った。3度目の中断は再開されることなく1-0で試合終了となった。

新井監督は「投手と野手が一丸となったいい勝ち方でした」と、悪天候の中で最少失点を守り抜いた選手たちをたたえた。開幕4連敗から得た阪神戦での今季初勝利に続き、連覇中のヤクルトから得た今季初勝利も降雨コールド勝ち。雨を味方に、新井広島が再び貯金を1とした。【前原淳】

▼広島が6日阪神戦に次いで今季2度目の完封勝ち。阪神戦は6回表攻撃中降雨コールドだったが、この日は8回表終了降雨コールド。2リーグ制後、コールドでシーズン2度の完封勝ちは、71年巨人が6月1日中日戦(後楽園球場=7回表攻撃中降雨コールドで1-0)と9月6日ヤクルト戦(神宮球場=7回表攻撃中降雨コールドで4-0)で記録して以来、52年ぶり2度目。月間2度は2リーグ制後初の珍事だ。