日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)が古巣阪神の3連敗阻止を見届け、勝負どころでの走者の進め方が両チームの明暗を分けたと指摘した。DeNAは同点の8回裏無死一塁から7番山本、8番京田を強攻させて得点を奪えず。一方の阪神は同点の9回表無死二塁から7番坂本が1球で犠打を決め、途中出場のノイジーの決勝打を呼び込んだ。【聞き手=佐井陽介】

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少し驚いたのは勝負どころでのDeNAベンチの選択でした。

同点で迎えた8回裏、先頭の6番筒香選手が右前打で出塁。ここは7番山本選手に犠打で送らせ、得点圏に走者を置いてプレッシャーをかけるだろうと想像していました。

しかし、山本選手は1ボールから強振で空振りした後、1球だけセフティー気味にバントを仕掛けましたが、これもファウル。最後は空振り三振に倒れました。続く8番京田選手はさすがに犠打かと思いきや、こちらも強攻策で遊ゴロ。2死一塁から代打楠本選手が右飛を打ち上げ、流れは阪神側へ一気に傾きました。

阪神のマウンド上には岩崎投手がいました。数々の修羅場をくぐり抜けてきたリリーバーを相手に、連打できる確率はそう高くはありません。てっきり走者を二塁に進めてから、この日タイムリーを放っている京田選手や代打陣で勝負するものだと予想していました。それだけに強攻策の連続が意外だったわけです。

一方の阪神は直後の9回表、6番佐藤輝選手が二塁打で出塁すると、ベンチは7番坂本選手に当然のように犠打を指令。坂本選手もファーストストライクできっちり決めて、次の打者が打ちやすい1死三塁を手堅く作りました。

内野が前進守備を敷くことでヒットゾーンが広がる中、代打糸原選手は四球を選び、最後は1死一、三塁からノイジー選手の左前適時打で決勝点を奪取。少なくともこの日に限れば、勝負どころでの走者の進め方が両チームの明暗を分けた形です。

阪神岡田監督は常日頃から「普通にやればいいんよ」と言葉にします。2連敗中でも「普通」の戦い方を貫いた阪神。地に足をつけた戦いを続ければ、おのずと貯金は増えていくのではないでしょうか。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 DeNAに勝利しナインを迎える阪神岡田監督(撮影・たえ見朱実)
DeNA対阪神 DeNAに勝利しナインを迎える阪神岡田監督(撮影・たえ見朱実)
DeNA対阪神 9回表阪神1死一、三塁、ノイジーが左前適時打を放ちベンチでガッツポーズする岡田監督(左から2人目)(撮影・横山健太)
DeNA対阪神 9回表阪神1死一、三塁、ノイジーが左前適時打を放ちベンチでガッツポーズする岡田監督(左から2人目)(撮影・横山健太)