野球指導者は一時は諦めた道だった。だが、もう一度と背中を押されて就任した公立高で奮闘を続け、わずか16人の選手を率いて甲子園へたどり着いた。今春のセンバツ出場校に21世紀枠で選ばれた別海(北海道)を率いるのは、島影隆啓(たかひろ)監督(41)。コンビニエンスストア副店長の肩書も持つ、異色の指導者の歩みはドラマに満ちていた。
第96回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が開かれた1月26日。歴代最東端からの甲子園大会出場が決まると、島影監督の脳裏には、着任後の8年間の記憶が走馬灯のように駆け巡った。「私を信じて頑張ってくれた選手、保護者、卒業生、町の人に、やっと『夢、かないました』と報告できる」と笑みを浮かべた。
早朝からセイコーマートでおにぎり握る
島影監督は別海町中春別出身。実家は30年近くコンビニ「セイコーマートしまかげ中春別店」を営んでおり、本業は「監督ではなく副店長」だという。
副店長の朝は早い。午前3時に起き、まずは店舗内で調理した総菜コーナー「ホットシェフ」に並べるおにぎりと揚げ物作りに取りかかる。毎朝白米4~5キロを炊き、約1時間半かけて握るおにぎりは70個近く。フライドポテトや唐揚げも手早く準備し、商品の発注業務もこなす。
午後からは、おにぎりをバットに握り替えてグラウンドに向かう。前任校での教え子で、7年前から別海でトレーナーを務める大友孝仁さん(31)は「選手の前では出さないが、2人きりになると疲れた表情が見えることも。家業と監督を両立する行動力と情熱はまねできない」と語る。
3人の子の父親として家では家事育児も担う島影監督自身、「練習試合や大会の遠征で家を空けることも多く、家族には負担をかけている。もっと家のことをしたいんだけどね」と、二足のわらじ生活に悩みは尽きない。
青年監督が味わった挫折
それでも「別海のみなさんに恩返しがしたい」と奮起するのには理由があった。「二度と野球の指導者はできないのか」と落ち込んだ過去があるからだ。
さかのぼること17年。…
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