近畿大学西門前で1967(昭和42)年から営業を続ける洋食店「キッチンカロリー」(東大阪市小若江3、TEL 06-6723-0036)が8月31日、53年の歴史に幕を閉じる。
店主の椎林(しいばやし)要治さんと晴子さんが営む同店。要治さんは明治大学の学生時代、大学近くにあった同店と同じ名前の洋食店でアルバイトをした後、「関西でするなら同じ名前を付けていい」と言われ、現在の場所に建っていた平屋を改装して1967(昭和42)年9月1日、同店をオープンした。開店当時、周辺にはうどんやお好み焼きの店しかなく、それらに比べ洋食は価格が高く、「半年でつぶれる」と周りから言われていたが、今では周辺で一番古い店になった。要治さんと晴子さんは開店4カ月後に結婚。出産の時期を除き、晴子さんもほぼ一緒に店に立ち続けてきた。
今年80歳を迎える要治さんは、「明日はどう生きていこうかという時代に店を始め、がむしゃらにやってきた。みんなに満足しておなかいっぱいになってもらいたいと、薄利多売で野菜が高い時期でも量を減らさずやってきた」と言い、メニューは創業当時とほとんど変えていない。カレー味の野菜炒めに生卵をのせた「ガチャ鉄板焼き(ライス付き)」や、ドライカレーに豚カツをのせてカレーをかける「ドライカツカレー」(以上630円)、自家製の「ハンバーグ鉄板焼き」(760円)、豚ロースと玉ねぎを炒めた「ポークカロリー」(810円)などは今でもOBがよく注文するメニュー。「当時ステーキは高級で、在学中に一度はステーキをと言っていた学生が卒業の日にみんなでステーキを注文してくれて何軒も肉屋を回った思い出もある」と振り返る。
「私か妻が体を壊したら店をやめようと5~6年前ぐらいから考えていた」と言い、今年の正月ごろに「いつまでにしようか」と話していたが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、「コロナの影響で(店を)やめると思われたくなかったので、閉店を言い出せなくなった」という。「9月1日が開業日なので丸53年となる8月31日を最後にし、8月の始めごろに閉店を伝えようとしていたが、6月ごろにポロッとしゃべってしまったら大学の広報さんに伝わり、閉店が広まってしまった」と話す。
現在は、閉店を惜しむOBが連日同店を訪れ、懐かしい味と晴子さんとの会話を楽しんでおり、「海外に赴任した元近大の教授や、元アルバイトの子など、たくさんの人が連絡をくれた。75歳になる開店時の応援団長が来てくれたり、大きな花束をもらったり、みんなからお世辞でも寂しいと言ってもらって、こんなに華やかに引退できると思ってなかった」と晴子さん。要治さんは「クラブの合宿が重なっても前の日に作ったものを出すのは嫌で、カレーも粉から作り、ハンバーグも手作りで、事故もなく、食中毒も出さず、家族みんな健康で仕事ができた。もっと値段を上げてもいけたと思うが、抑えたのでここまで続けてこられた。商売は下手だが、一つの仕事をずっと続けてこられたのは幸せ。最終日も平日通りやって平日通り終わりたい」と笑顔を見せる。
閉店が知れ渡ってから予約や問い合わせの電話が多いというが、「一人でも多くの人に食べてもらいたいので予約は取らない」と晴子さん。「ご飯がなくなったり、体力がもたなくなったりしたときは早めに閉める日もあるが、今年はお盆関係なく店を開ける」という。
営業時間は11時~15時。水曜・日曜・祝日定休。
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August 11, 2020 at 11:36AM
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近畿大学前の洋食店「キッチンカロリー」、8月末閉店へ 53年の歴史に幕 - 東大阪経済新聞
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