【グレンデール(米アリゾナ州)15日(日本時間16日)=四竈衛、斎藤庸裕】大谷、実戦秒読み-。ドジャース大谷翔平投手(29)が、キャンプ7日目にブルペンで打席に立ち、投手の球筋を見極める「目慣らし」を行った。今後は、投手相手のライブBPに進む見込みで、17日(同18日)に初登板する山本由伸投手(25)との「初対決」が実現する可能性も浮上。22日(同23日)から始まるオープン戦にも、早い時期から出場可能なペースになってきた。

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また1歩、階段を上がった。ブルペン後方で若手の有望株シーハンの投球を見守っていた大谷は、おもむろにドジャーブルーのヘルメットをかぶると打席へ向かった。いつも以上の軸足体重、やや広めのスタンスで構えると、1球ごとにうなずき、時には顔をしかめ、時には笑った。時速95マイル(約153キロ)前後の速球、スライダー、チェンジアップを21球。途中、ロバーツ監督が「振ってもいいぞ」とジョークを飛ばすと、大谷だけでなく、ブルペン全体に笑いが広がる和やかな「目慣らし」だった。

昨年9月20日の右肘手術以来、医療スタッフの間では「順調に行けば、元々(開幕に)間に合うスケジュール」(大谷)を組み、リハビリ&自主トレを進めてきた。キャンプイン前の時点で、トス打撃などで「100%で打っている状態」まで回復し、同地入り直後にはマシン打撃を再開。1週間後の12日には屋外でのフリー打撃と、順調なステップを踏んできた。

前日、5連発を含む大谷の豪快なアーチショーを見守ったロバーツ監督は「ショウヘイは非常にいい状態に見えた。打球音が違う。芯で捉える正確さもある」と現状を分析。今後の屋外打撃について「1日おきにやると思うが、ライブBP(実戦形式の打撃練習)も、もうすぐだろう」と、近日中にも実戦段階へ移行する見通しを明かした。

野手組合流2日目のこの日、大谷は全体練習から外れ、個別メニューで調整。「目慣らし」も大谷単独のメニューだった。同監督の言葉通り1日おきであれば、16日は屋外フリー打撃、17日は個別メニューとなる。その一方で、大谷の意思次第では、すでに始まっているライブBPで、「目慣らし」を主眼に、打席に立つとしても問題はない。同日には山本が初登板することもあり、17年以来、7年ぶりとなる「対決」が実現する可能性もある。

22日に始まるオープン戦にしても、韓国で開幕するド軍は、20日間で21試合と例年より大幅に少なく、開幕戦出場を念頭に置く大谷が早い時期から出場する可能性は高い。日差しが強くなり、最高気温23度と暖かくなってきた同地で、大谷の大排気量エンジンも着々と温まってきた。

◆大谷VS山本 NPBでは1試合だけ。17年9月26日、京セラドームで行われた「オリックス-日本ハム」戦で対戦。プロ1年目の山本が先発し、大谷は「3番DH」でスタメン出場。結果は、空振り三振、中犠飛、中前打と2打数1安打1打点1三振。試合後、大谷は当時19歳の山本を「今年対戦した中で一番」と印象を語った。