日本一を経験した2年生は、来年度のさらなる躍進を誓った。青森山田高(青森)のDF小沼蒼珠(2年)は、その目立つ丸刈りでピッチを駆け抜けた。「来年度に向けて、この経験を生かす。これ以上の結果として3冠を成し遂げたい」と力を込めた。
左サイドで攻守に動き続けた。2-1で迎えた後半35分、カウンターでMF杉本英誉(3年)、MF川原良介(3年)とともに相手ゴールへ。2人の先輩がパス交換をする最中、小沼は動き回ることで囮の役目を果たす。「スプリントするのは自分の役目。結果的に(自分の)ゴールにはならなかったが、英さんのゴールは自分の走ったおかげと思っていい」。後半アディショナルタイム2分過ぎの途中交代まで止まることなく走り続けた。
2年生で唯一、選手権全5試合でスタメン出場した。今シーズン最初はプレミアリーグEASTでもベンチスタートが多かったが、後期に入ると出番が増える。そして、選手権で躍動した。「この選手権で自分の名前を轟かせようと思ってずっとやってきた」。ロングスローの武器を持つ丸刈りは、試合を経て注目度を増していった。
来年度は王者として迎えることになる。小沼は「(全試合スタメンだった)唯一の2年生ということは自信にもつながる。それと同時に責任も生まれてくる」と主力の自覚を持つ。「3冠は誰しもが憧れる。3冠はもちろん狙っているが、日常生活は2年生もまだ課題。そこはしっかり自分が率先してやっていきたい」。チームをけん引する構えだ。
自身の動向についても、色々ほのめかした。おばあちゃんに切ってもらったことから始まったトレードマークの丸刈りは来年度も続行する。「伸ばしたい気持ちはある」と欲は出しつつも「とりあえず高校生活はこのまま行こうか」と現状維持だ。毎回の散髪タイミングは試合直前ということもあり、しばらく切るタイミングはやってこない。「試合がなくても伸びてつまめるくらいになったら……」と次の散髪予定を明かしていた。
また、大きな武器であるロングスローは封印の可能性があるという。「いま2年生にロング投げれる奴いるので。自分は中でいいかなと」。さまざまな試行錯誤を重ね、さらなる進化を目指しそうだ。
(取材・文 石川祐介)
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