ハンドボールの本場欧州の強豪クラブ、パリ・サンジェルマン(PSG)が初めて来日し、31日に日本リーグのジークスター東京、8月2日に日本代表とそれぞれ東京・有明アリーナで対戦する。同じく来日中のサッカー同様、各国の代表クラスが集うスター軍団は、来たる新シーズンに向けての準備と同時に、PSGのブランドを欧州以外にも広める野心がある。チームの顔であり、2021年東京五輪ではフランス代表として金メダルに輝いたニコラ・カラバティッチは「世界トップ4に入るチームのクオリティーを見てほしい」と意気込んでいる。
今回の来日メンバーはフランス、スペイン、オランダなど欧州8カ国の選手から構成されている。国際色豊かなチームきってのスター選手が、ニコラとルカのカラバティッチ兄弟だ。ともに身長約2メートル、体重約100キロの肉体でパワーとスピードにあふれたプレーを見せる。
特に兄のニコラ(39)は五輪に4大会連続出場し、3つの金メダル(2008年北京、12年ロンドン、21年東京)と1つの銀メダル(16年リオデジャネイロ)を獲得。国際ハンドボール連盟の世界最優秀選手のほか、世界選手権や欧州選手権のMVPにも選出されている。これまでバルセロナ(スペイン)、キール(ドイツ)、モンペリエ(フランス)など強豪クラブでプレーし、15年からPSGに加入した。
「PSGはバルサやキールに比べると若いチームで、カタール資本が入ってきてからトップの仲間入りをした。クラブとしてのモチベーション、野心がある。選手に与える環境を含め、全ての面にクラブのコミットメントがある」とニコラは語る。サッカー同様、11年にカタール投資庁傘下のファンドに買収されてからチーム強化が一気に進んだ。昨季のフランスリーグも制し、優勝回数は10回の大台に乗った。
そんなトップクラブにとって残された唯一の勲章が、欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇だ。過去8シーズンで6度も4強に勝ち残っているが、あと一歩頂点に届いていない。
ニコラの弟で主将のルカ・カラバティッチ(35)は、欧州CLのファイナル4(2日間で準決勝、3位決定戦、決勝戦を行う)の難しさについて「24時間後には次の試合があり、故障者も出る。1点差、2点差で最後のほんの数秒で決まることもある」と語る。一方で常にベスト4に残っているチームの力には自信を持っている。「何かが足りないというより、今まで続けていた努力をこれからも続けることが大事。諦めずにこれまでやってきたことを続ければ、いつか必ず勝てると思っている」
キャリア終盤にさしかかっているカラバティッチ兄弟にとって、もう一つの大きな夢が1年後に迫る来年のパリ五輪だ。フランス代表は地元で連覇が懸かる。
来年4月で40歳になるニコラは「今季の大きな目標の一つでもある。そのためにもPSGでいいシーズンを送らないといけないし、代表でもいいプレーをしないと五輪には出られない」。昨季はシーズン後半を故障で棒に振り、来日直前にチームに合流した。それだけに、今回の日本ツアーも貴重な機会ととらえている。
ルカも五輪についての思いは兄以上だ。「今までリオと東京の2回経験したが、五輪は選手としてキャリア一番の思い出だ。開催国の選手にとって、どれだけ誇りなのかを見てきたので、自分もその経験をしたいと思っている」
PSGハンドボールが欧州の外に出て試合を行うのは、今回がクラブ史上初めてだという。今回のツアーは日本のプロチームであるジークスター東京の親会社、フューチャーの招聘(しょうへい)に応じる形で実現した。
ゼネラルマネジャー(GM)のティエリ・オメイヤー氏は「このツアーでPSGのブランドを欧州以外に広めたい。(サッカーだけでなく)PSGにはハンドボールもあるんだよというのを伝えることができるので、とても大事な機会だと思っている」と語る。PSGはサッカー、ハンドボールのほか、五輪金メダリストのテディ・リネール(フランス)が所属する柔道、さらにeスポーツのチームがあるという。
「フランスの美しいハンドボールをお見せできると思う」とオメイヤーGM。ジークスター東京のオーナー、金丸恭文氏はこのほど日本ハンドボール協会の会長にも就任した。オメイヤー氏は「日本のハンドボールを手助けするためにも、我々の経験や知識を生かしたい」と話しており、今回のツアーをきっかけに協力関係が深まる可能性もありそうだ。
(山口大介)
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