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錦木が照ノ富士破り年半ぶり金星 関取まで年場所連続負け越し十両転落も再浮上やっと上の人と戦える - スポーツ報知

◆大相撲▽名古屋夏場所2日目(10日・ドルフィンズアリーナ)

 東前頭筆頭・錦木が4年半ぶりの金星を挙げ、波乱の土俵を演出した。一人横綱の照ノ富士をすくい投げで撃破。幕内では過去3戦全敗だった難敵から初白星をもぎ取り、連勝スタートを切った。金星は2019年初場所の鶴竜戦以来、2個目。関取になるまで約10年を要した苦労人が、悲願の新三役昇進に向け白星を積み重ねていく。大関取りに挑む豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇は、いずれも連勝発進となった。

 32歳の苦労人が堂々たる相撲で横綱を撃破した。錦木は頭からぶつかると、すぐに右を差し左もねじ入れ、もろ差しに成功した。両腕を抱えられるも、体を開き左からすくって照ノ富士を豪快に投げ捨てた。「もろ差しじゃないと寄れない。負けてもいいから、ねじ込もうと思った」と誇らしげに汗を拭った。

 初日は新大関・霧島が休場して不戦勝。過去2戦2敗で、場所前の稽古でも胸を合わせたが「むちゃくちゃ強かった。新大関と取りたかったが、勝てる気はしなかった」という。1日遅れての“初日”に「途中だったらペースが狂ったかもしれないが、初日だったから良かった」と追い風とし、殊勲星を挙げた。

 金星は19年初場所の鶴竜戦以来、約4年半ぶりで2個目。だが、同場所を含めて6場所連続で負け越すなど不振が続き、一時は十両下位まで番付を下げた。それでも、昨年春場所で幕内に復帰してから負け越しは2度だけ。再浮上を遂げ、自己最高位となる東前頭筆頭まで番付を上げた。「やっと上の人と戦えるところまで来られた」と、かみしめる。場所前は地元の岩手県での合宿や出稽古などで鍛えてきた。「結果につながってくれれば」と喜びを胸に土俵に上がっている。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「稽古するもんね。巡業でも一番先に取ろうとする。偉い」とベテランの地道な努力をたたえた。今場所で勝ち越せば、新三役が濃厚。初土俵から103場所目での新三役なら、史上3番目のスロー昇進だ。それでも錦木は「意識したらだめ。いつもどおりにやる」と平常心を強調した。

 先場所途中からの連勝は「10」に伸び、懸賞金16本を手にした。「いい生活費。ある程度の質があればあとは量。安い芋焼酎をたくさん買う」と笑わせた。勝利の美酒に味をしめ、今度こそ役力士の座をつかむ。(山田 豊)

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