虎に負けない男がやってきた。

現役ドラフトで加入した阪神大竹耕太郎投手(27)が、7回途中6安打1失点、無四球で今季2勝目を挙げた。立ち上がりからエンジン全開。7回に上本の適時打で初失点して降板したが、安定感抜群の投球で広島打線をねじ伏せた。

阪神に移籍した投手の2戦2勝は03年伊良部以来2人目で左腕では初の快挙。だが本人は貪欲だ。「コントロールはよかったけど、守りに入ってしまった。勝負できなかった。7回を投げきらないといけない」。

「新・雨男」の本領も発揮した。移籍後初先発予定の5日広島戦は雨で中止。初勝利後の15日のDeNA戦も中止と2度も雨で流れた。その雨男ぶりにSNSでは「大雨降太郎」など、青柳に次ぐ雨男と注目されている。この日も試合開始約30分前、スタメン発表中に突然の土砂降り。お立ち台では雨との縁に「神からのお告げだと思ってやっています」と笑いを誘った。岡田監督も「雨降ってきたしなあ(笑い)。何となく嫌な感じやったけど。まあでも2回とも、あんなピッチングしたらなあ」と負けない雨男に感謝感謝だ。

安定感の源はサッカーボールだ。練習時に常に持ち込む相棒だ。「(生まれが)田舎なので、外で遊ぶしかなくて。サッカーは好きっすね」。サッカーボールを左手に持ち、体全体を使って投げる動作を繰り返す。球の軌道がブレないようにする訓練だが、もう1つ理由があるという。「外側に意識を向ける癖づけでやっています」。ボールを蹴りながらジョギングし、考えすぎないように意識改革。ピンチの場面でも冷静に対峙(たいじ)できるように、習慣づけも怠らない。

2戦2勝で甲子園のお立ち台も2戦連続。規定未満ながら防御率は0・71まで下げた。負けない男が、阪神への移籍投手では前人未到の3戦3勝に臨む。【三宅ひとみ】

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