日本料理は専門料理の集合体
日本料理といえば、どういった飲食店をイメージするでしょうか。
手頃なものであれば、定食屋から回転寿司や牛丼店、お好み焼き店から蕎麦屋やうどん店、親子丼店やカツ丼屋などがあります。他にも、板前と距離の近い割烹や個室造りの料亭、鉄板焼店や天麩羅店、寿司店やうなぎ店、おでん屋から焼鳥屋など、枚挙に暇がありません。
日本料理は「ミシュランガイド東京 2020」のカテゴリでは約20種類あるほど多様な形態を内包するジャンル。職人の叡智と技術による専門料理の集合体であり、それが日本の食文化を魅力的にしています。
天麩羅、鉄板焼、寿司は高級料理の代名詞
どの料理が優れているということではありませんが、特に高級なイメージがあるのは、旬の食材をカラッと揚げる天麩羅、黒毛和牛を食べられる鉄板焼、新鮮な魚介類を用いた寿司ではないでしょうか。
世界で美食の代表とされるフランス料理には、フォアグラやトリュフ、シャラン鴨やジビエ、オマールブルーやザリガニといった高級食材があります。しかし、庶民はこういった食材を用いた料理を日常的に食べられているわけではありません。
これと同じように、ほとんどの日本人も、鉄板焼や寿司、天麩羅を日常的に食べているわけではないでしょう。
開業10周年記念コース「水彩の余韻」
海外の方が訪日した際に、天麩羅、鉄板焼、寿司は是非とも食べておきたい日本料理となっていますが、それは日本人にとっても同じこと。
しかし実は、日本人にとっても特別な日のご馳走となっている鉄板焼、寿司、天麩羅を一度に楽しめるチャンスがあるのです。
それは、ザ・キャピトルホテル 東急の日本料理「水簾」で、2020年10月4日から25日の日曜日にだけ提供されている、開業10周年記念コース「水彩の余韻」。
「水簾」板長であり、日本料理を統括する柘植実氏のもと、「新しい生活様式」に十分配慮し、安心して美食を堪能できるコースとなっているのです。
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1人5万円(税・サ別)という価格ですが、高級ホテルの天麩羅、鉄板焼、寿司であれば、それぞれ2万円を超えることが普通なので、全てを堪能できるのであれば、むしろ安いといってよいでしょう。
周遊スタイルで楽しむ
「水彩の余韻」は3日前までの完全予約制で、1部目17時、2部目18時、3部目19時と開始時刻が分散されており、各部は1組4名までとなっています。少人数で1組ずつ巡り、時間差もとられているので、密にならず食事を楽しめるでしょう。
食事の展開も非常にユニークです。
最初は「水簾」の特別個室「月」から始まり、前菜に舌鼓を打ちます。次は「天麩羅」の個室に誘われ、目の前で揚げられた太白胡麻油が香ばしい天麩羅を堪能。
そこから「鉄板焼」の個室に移動して、国産黒鮑とメインディッシュの黒毛和牛を味わいます。そして最後は、凜とした雰囲気を醸し出す檜のカウンターで「寿司」をいただくという流れです。
北大路魯山人が手彫りしたといわれている「やどや」の看板、篠田桃紅や荻野丹雪の水墨画、棟方志功の版画など、店内に展示されたアートワークを鑑賞できるのも貴重な体験でしょう。
美食と芸術の周遊スタイルの晩餐とは、何とも贅沢な一夜です。
コース内容
取材時のコース内容は次の通りでした。
水彩の余韻
ハモの梅肉和え、ズワイガニとアメリカ産キャビア、長崎のボラで作った自家製カラスミの炙り
活け車海老(鹿児島)、椎茸(石川)、鱚(千葉)、アスパラガス(北海道)、雲丹大葉巻(北海道)
焼野菜、活け黒鮑、北海道日高郡産「こぶ黒」サーロイン・フィレ
鰈、ばふん雲丹、真鯵、本鮪 とろ、穴子
- デザート
※食材の入荷状況により、メニューが変更になる場合もある
天麩羅は高石進一氏、鉄板焼は庄子俊也氏、寿司は中島紀行氏が料理長を務めており、経験豊かな料理人たちが目の前で腕をふるってくれます。
ソムリエやソムリエールによるワインや日本酒のペアリングも用意されています。アルコールが飲めなかったり苦手だったりする方には、ノンアルコールのペアリングも準備されているのが嬉しいところ。
では、特に注目のメニューをそれぞれ詳しく紹介していきましょう。
前菜
最初に案内されるのは特別個室「月」。天麩羅、鉄板焼、寿司で使用される食材が美しくディスプレイされており、料理の説明を聞きながら前菜に舌鼓を打ちます。
「ズワイガニとアメリカ産キャビア」は潮が香るズワイガニと塩味の利いたキャビアという贅沢な海の幸の取り合わせ。「カラスミの炙り」は長崎県産ボラを用いた自家製カラスミを炙り、香りがさらに引き出されているのでお酒によく合います。
天麩羅
次は天麩羅カウンターに移動。2017年にできたエリアで、個室としても利用可能でプライベート感があります。
日本国内の魚介類と野菜が用いられており、コンディメント類も特徴的。塩は旬の食材にあわせてシーズンごとに新しくなり、大根おろしは北海道産の大根を手で下ろして1日寝かせたもので、マイルドな口当たりでファンが多いです。
「車海老」は最初にカリカリの頭と足、その後にぷりぷりの身が提供されるなど工夫が施されています。「雲丹大葉巻」は手で持って揚げるという匠の技で生まれる逸品。海苔を用いた磯辺揚げとは異なり、大葉で包むとウニだけの香りが残るので、ウニの風味を存分に賞味できます。
鉄板焼
鉄板焼コーナーでは、他ではなかなか食べられない北海道日高郡産の黒毛和牛「こぶ黒」を堪能。
「こぶ黒」は北海道日高郡産の昆布を食べて育った黒毛和牛で、赤身にコクがあって口溶け感があります。その貴重な「こぶ黒」のフィレとサーロインを味わえるのは非常に贅沢なこと。
フランベして香りをつけるので、より風味が広がります。目の前で炎が上がる様子はとてもダイナミックで印象に残ります。
ワサビ、生醤油(きじょうゆ)、大根おろし、ヒマラヤの岩塩に加えて、ディアブルソースやマイルドチリソースといったオリジナリティ溢れるピリ辛ソースも用意されているので、食べ比べてみるとよいです。
寿司
最後の「お食事」は寿司カウンターで賞玩。
カレイは竹炭の塩でアクセントを利かせ、ユズとスダチで軽やかに仕上げられており、北海道室蘭市産のバフンウニは濃厚ながらも磯の香りをふんだんに携えていました。
長崎県産のアナゴには瀬戸内の鯛の出汁からつくられたツメがぬられているので、やわらかで甘味のある身にコクが加わっています。
寿司を食べ終えた後は移動して、ゆっくりと水菓子の盛り合わせをいただくという流れ。
他にはない特徴
「水彩の余韻」は様々な豪華な日本料理を楽しめるのが最大の特徴です。
しかし実は、その他にも注目するべき特徴があります。それは「3つのカウンター」「専属スタッフ」「多彩なテーブルウェア」です。
天麩羅、鉄板焼、寿司と「3つのカウンター」を巡ることによって、様々な熟練の技を目の前で鑑賞することができます。焼く、揚げる、煮る、蒸すといった調理から板場の切りつけなど、日本料理には高い専門技術が必要。3人の料理人による高度な技術を次々と見られるのは、何にも勝るライブエンターテインメントではないでしょうか。
「専属スタッフ」が最初から最後まで付いてサービスしてくれるのも特別な体験。同じスタッフが付いて回ることによって、スムーズに手配して食事を円滑に進めたり、ゲストとコミュニケーションを深めてより楽しい雰囲気を醸成したりできます。一貫して安定したサービスを行い、食体験を高められる素晴らしい試みです。
日本料理は目で楽しむ要素も多いだけに「多彩なテーブルウェア」を愛でることができるのも喜ばしいところ。ボトムのないザルト デンクアートのグラヴィタス オメガや「水簾」の刻印のあるお猪口でお酒を嗜んだり、土の風合いある陶器やフランスの名窯であるリモージュのアビランドのプレートで料理を味わったりするなど、様々なテーブルウェアに触れられるのです。
開催までの背景
日本料理を擁するホテルは数多くありますが、このような周遊スタイルはあまり見かけられません。
では、「水彩の余韻」はどのようにして生まれたのでしょうか。
「水簾」マネージャーの秋本充尋氏は「今年はリニューアル10周年の節目なので、新しく特別なものをご提供したかった」といいます。そして、「水簾」では懐石料理、天麩羅、鉄板焼、寿司と様々な日本料理を味わえることから、中国料理の満漢全席をイメージして「水彩の余韻」を考案したということです。
総支配人の末吉孝弘氏は中国料理「星ヶ岡」で大人気を誇るオーダーバイキング「スペシャルトリート」の日本料理版を目指したといいますが、まさに特別なご馳走に相応しい夢の企画であるといってよいでしょう。
いったん白紙に戻して再考
ただ、簡単な道程ではありませんでした。
秋本氏は「2019年3月頃からマーケティング部と共に構想を練り始めたが、コロナの感染が拡大して状況が変わったので、当初の企画を全て白紙に戻した。再び考え始め、スタッフともよく議論し、2020年4月に周遊スタイルに辿り着いた」といいます。
総料理長を務める曽我部俊典氏が「このような時期なので、安全安心に楽しんでいただけることが最も重要」と述べる通り、7月には4回ものシミュレーションを行って、細部を綿密に詰めました。
日本料理の叡智を結集
特に苦労したのはどういったところでしょうか。
秋本氏は「限られた時間の中で周遊していただくので、時間配分が難しかった。どれもがそれだけでメインとなる料理なので、巡る順番や食事量、食材のバランスを調整するのに苦労した」と答えます。
確かに一度の食事で、天麩羅、鉄板焼、寿司を回るような豪奢を極めた食事など普通はないだけに、どのように差配するべきか悩むところです。
しかしそこは、世界中から訪れるVIPに腕をふるってきた板長の柘植氏が細やかなところまで勘案し、ちょうどよい塩梅に仕上げました。
ザ・キャピトルホテル 東急における日本料理の叡智を結集して完成させたものが、まさに「水彩の余韻」であるといってよいでしょう。
2020年のテーマは「A Decade of Luxury」
ザ・キャピトルホテル 東急は、世界的に権威あるトラベルガイド「フォーブス・トラベルガイド」が発表した2021年の格付けにおいて「ホテル部門」で最高評価の5つ星を獲得しました。
そして10月22日にリニューアルオープン10年の節目を迎えることから、2020年のテーマに「A Decade of Luxury」を掲げています。
これに合わせて、ペストリーブティック「ORIGAMI」では、4月1日からホテルのロゴマークを刻印した「ブリオッシュキューブ」を、7月1日から旧キャピトル東急ホテル時代に人気を博した「ナポレオン」進化版である「ナポレオン ピスターシュ」を販売し始めました。
ラウンジ「ORIGAMI」では9月1日にアフタヌーンティーを全面リニューアルしたり、中国料理「星ヶ岡」やオールデイダイニング「ORIGAMI」でもイプロモーションが予定されたりしています。
余韻を楽しむ
「水彩の余韻」という名前は、「水簾」の「水」、色々な料理を味わえるということから「彩」、カウンターの余韻を楽しんでもらいたいということから「余韻」、これらが組み合わされて命名されました。
天麩羅、鉄板焼、寿司の余韻に浸っている間にも、中国料理や洋食、スイーツでも特別なものを体験できる機会があるだけに、2020年はザ・キャピトルホテル 東急が彩る美食から目が離せません。
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September 12, 2020 at 02:44PM
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