クリストファー・ノーラン監督の全世界待望の最新作『TENET テネット』の日本公開の時が目前に迫っています! 私はこの作品の翻訳と広報の科学監修を務め、幸運にもその魅力を世界に先駆けて体験することができました。
本記事では、同じくノーラン監督の作品である『インターステラー』に触れながら、時間に関する科学で軽く準備運動をしておきましょう。それは、時間のジェットコースター『TENET テネット』の衝撃に備える安全バーになる……はずです。なお、『TENET テネット』本編のネタバレは一切無いのでご安心ください。
『TENET テネット』は「!」と「?」の超連打
まず、皆さんが最も気になるであろう『TENET テネット』の率直な感想です。
ずばり「!」と「?」。「な、なんだこの映像はッ!!」という人生初めて見る奇怪な映像に脳の常識が崩壊する衝撃「!」と、「え?えぇ??……………」という脳が思考停止命令を出すギリギリを攻める混乱「?」。
この「!」と「?」のマシンガンに全身穴だらけにされ、気が付けば映画館の椅子に張り付けられてしまいました。映画館から生還した関係者の最初の会話は、口をそろえたように「むずかしかった」のようです(笑)
その後、映画について「あのシーンは、このシーンは」と異様なまでの議論がなされ、誰しもが「もう2、3回見よう」という結論に至ります。この“読後感”は、劇的な目覚めを体験させた『インセプション』、深い感動と余韻に包まれた『インターステラー』、そのどちらとも異質なものでした。
こんな映画、他に見たことがありません。全く新しい映画の誕生です。
同じ作品を50回以上鑑賞、さらに海外にも遠征
クリストファー・ノーラン監督は徹底した秘密主義で知られ、『TENET テネット』の予告編も情報が断片的で実に謎めいています。横転していた車が突然起き上がって後ろ向きに走り出すシーン、銃撃の痕から弾丸が逆行して銃に戻るシーンなど、「時間の逆行」を示唆する衝撃的なシーンが何度も登場します。
私が『TENET テネット』の翻訳や広報の科学監修を務めることになったきっかけは、実は『インターステラー』にあります。私はこれまでにインターステラーを約50回視聴し、世界最大のIMAXシアターで観賞するためだけにシドニーまで15万円かけて日帰りしたこともありました(大変幸運なことに、『TENET テネット』の公開を記念して、日本初のフル画角IMAX版『インターステラー』が公開中です。一生後悔することのないように、今すぐ映画館へ!)。
その後、インターステラーを科学的に解説する講演会の依頼が殺到し、約100回約5000人に届けてきました。その中には、数百人を対象とした普通の講演会から、質疑応答中心のディープな会、ブレインストーミングやディベートを行う双方的な中級編、さらに3日連続で自由研究を行い最後に発表する主体的な上級編まで、様々なタイプがありました。
年頃の男女数人がお酒を飲みながら、一切色めいた話もせずにインターステラーの話だけを3時間して解散というインターステラー合コン(?)もありました。このような経験から、数百もの質疑応答や初心者が陥りがちな誤解が蓄積されていきました。この経験をフル動員して、インターステラーの時間の科学をわかりやすく紹介します。
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