新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店などの経営が厳しくなり、失業する人が増えている。高萩市の五十嵐快(かい)さん(40)もその一人だ。妻が妊娠し、幸せな生活を思い描いていたところで、勤めていたイタリアンレストランを解雇に。だが「やるしかない」と奮起し、県名物のあん肝を使ったピザのキッチンカー販売に活路を見いだした。多くの人の支援を受けながら、十二月中の開業を目指す。 (水谷エリナ)
十月下旬、五十嵐さんは水戸市内のそば店でピザを試作していた。ピザは、みそと生クリームをベースにし、あん肝やムール貝、餅、モッツァレラチーズ、ラディッシュをトッピング。試食した店主らから「もっとあん肝の風味を生かした方がいい」などとアドバイスを受けた。
主に自宅で試作を重ねている。トマトソースをベースにしてみたり、ウニやカマンベールチーズなどを載せてみたりと、さまざまな食材を試して自信を持って提供できる組み合わせを探している。
五十嵐さんは高萩市出身。大学進学に合わせて上京し、卒業後は役者や人力車夫なども経験したが、飲食業に携わる期間が最も長かった。三十五歳のころに飲食チェーンに就職し、水戸市や横浜市の店で働いた。
結婚後、高萩市に住居を構えたこともあり、今年二月に隣接する日立市のイタリアンレストランに就職し、調理や配膳を担った。妻のおなかには新しい命も宿り、仕事と家庭に希望が膨らんでいた。
そこに新型コロナで暗雲が立ち込めた。店から客が遠ざかり、業績が落ちた。「給料が払えそうにない。他を探してほしい」。店主にそう言われ、四月末に解雇となった。
「がくぜんとした」と五十嵐さん。すぐに新しい就職先を求めて他の飲食店を探したが、緊急事態宣言下ということもあり「なかなか雇ってもらえる状況じゃなかった」と振り返る。
家族を養うため、決断したのがキッチンカーでの開業だった。飲食店で働いた経験と人力車を引いて培った体力を生かそうと考えた。料理は、地元の食材をふんだんに使えるピザに決めた。
目玉のあん肝ピザは、大学時代に高萩市の実家に帰省した際、父親に北茨城市の郷土料理のアンコウのどぶ汁を作ってもらい、温かい思いをした記憶をヒントに開発した。地元の人に懐かしさを感じてもらえる料理を届けたいと考えている。「地場産業の人も苦戦している。地元の具材をしっかり使い、生産者も元気になれるようなピザにしたい」と意気込む。
現在、二トントラックに石窯を載せたキッチンカーの製作が進んでいる。資金はクラウドファンディング(CF)を活用し、百六十八人から約百七十六万円の支援を受けた。「本当に感謝の気持ちでいっぱい。中途半端なことはできない。期待を裏切らないようにしたい」
開業のめどが立ち、十二月中ごろから、県北地域を中心にキッチンカーを走らせ、あん肝のほかにも、さまざまなピザを提供する予定だ。
五十嵐さんは「味もチェーン店に絶対に負けないようにして、ひと味違ったものにしたい。本場のピザをお届けします」と話す。
コロナ禍で失業し、似た状況に置かれた人もたくさんいる。「何かしたくてもできない人もいて、CFで『勇気をもらった』『似た境遇だけど頑張ります』というコメントももらった。勇気を持ってやってみれば、いろいろな人の力になれるのだと思った。ぜひ一緒に頑張りましょう」と呼び掛けた。
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November 14, 2020 at 05:19AM
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<コロナと生きる@いばらき>再起へ、石窯あん肝ピザ キッチンカーで提供へ 感染拡大で失業・高萩の五十嵐さん - 東京新聞
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