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【達人に聞く!次に旅するならココでしょ】Vol.5 ハーブとスパイスで美味すぎる!中東料理の魅力 - フジテレビュー!!

海外旅行再開の目処が未だ立たない中、旅への欲求を高め、次の旅を妄想する期間に充てたい方にお届けするシリーズ企画【達人に聞く!次に旅するならココでしょ】、略して「ツギタビ」。

▶第1弾「台湾編」
▶第2弾「イタリア編」
▶第3弾「韓国編」
▶第4弾「日本の美しい村編」

第5弾は、オリエンタルなスパイス、ハーブをふんだんに使ったヘルシーさで注目を集める、最新の中東料理の魅力を紹介する。

音楽ライター、ラジオパーソナリティ、そして中東料理研究家として幅広く世界のカルチャーを紹介しているサラーム海上さんに、最新刊「美味すぎる!世界グルメ巡礼」(双葉社)について、中東料理の魅力、そして暑い日におすすめのトルコ料理「タッブーレ」(イタリアンパセリのサラダ)のレシピを教えてもらった。

<達人・サラーム海上さんインタビュー>

紀行本「美味すぎる!世界グルメ巡礼」(双葉社)
旅先で出会った“美味すぎる!”グルメを臨場感たっぷりで紹介する紀行本「美味すぎる!世界グルメ巡礼」(双葉社)には、日本の家庭で再現できるレシピも多数掲載

――これまでも中東を中心とした紀行本を多数出版されていますが、今回の新刊はどのような内容ですか?

これまでに音楽関連の本を5冊、料理関連の本を5冊出版し、この本で著作は10冊目になりました。僕は30年連続で中東に通っていることもあり、中東料理については日本人で僕より詳しい人に会ったことがありません。そこも僕が中東料理について語る理由かなと思っていて、料理関連の本はテーマを中東料理に絞っていましたが、この本ではインドやシンガポールといった中東以外の国も取り上げ、中東料理以外の料理にもスポットを当てています。

インド、トルコ、イスラエルの美味しい料理についてはこれまでにも書いてはいますが、去年ユダヤ文化のフェスティバルの取材でポーランドのワルシャワに初めて行き、ポーランド料理の美味しさに驚いたんです。

ポーランド料理って日本ではまだあまり知られていなくて、僕も「ザワークラウトやソーセージくらいかな」と思っていました。でも、実際に行ってみると市場には8月下旬という食材が豊富な時期だったこともあり、山の幸、森の幸がズラーッと並び、 がズラーッと並び、僕の大好きなラズベリー、ビーツといったピンク色の食べ物が豊富で鮮やかに飾られていて。

ポーランドは、1989年に民主化され、2004年にEUに加盟してからは、世界中から物や食材も入るようになり、もともとの料理が今風に変わってどんどんポップでキャッチーになっていったということを全く知らなかったので、このことも書きたいと思いました。そういった新しい発見や、旅先での縁をアウトプットしてまとめたものがこの本になります。

ヘルシーで現代的、中東料理の魅力

トルコのメイハネ(居酒屋)では、着席するとウェイターが日替わりのメゼ(前菜)をワゴンやトレイに載せて運んでくる
トルコのメイハネ(居酒屋)では、着席するとウェイターが日替わりのメゼ(前菜)をワゴンやトレイに載せて運んでくる

――最近はホモス(フムス、ひよこ豆のペースト)など、野菜中心でハーブやスパイスたっぷりの中東料理はヘルシー志向の人にとても人気です。中東料理の特徴と魅力について教えてください。

“レモン・ニンニク・パセリ・オリーブオイル”、この4つがあれば大抵の中東料理は作れます。それ以外にヨーグルト、トマトペースト、モロッコだったらクミンパウダー、ジンジャーパウダー、サフランが必要だったりしますが、いわゆる“中東”と言われる、レバノン、イスラエル、トルコあたりでは先に挙げた4つの材料で基本的な味付けをするところが多く、基本的にすごくヘルシーです。

「中東料理=ケバブ」と思う人も多く、それも正しくはありますが、肉料理だけでなく、カツオの漬けなどの魚介料理も豊富です。旬の野菜を使った野菜のメニューも多く、ホモスやタッブーレ(イタリアンパセリのサラダ)といった、ベジタリアンやヴィーガンの方にもおすすめできる料理がものすごく多いんです。そのあたりもとても現代的ですよね。

ビーツ、タコ、ザクロ…変わりゆく世界の料理のトレンド

(左)ポーランド・ワルシャワのレストラン「ボルタ」のビーツのカルパッチョ(右)ビーツは“食べる輸血”とも言われるほど栄養価の高い野菜
(左)ポーランド・ワルシャワのレストラン「ボルタ」のビーツのカルパッチョ(右)ビーツは“食べる輸血”とも言われるほど栄養価の高い野菜

――毎年世界を巡り、各国の美味しいものを求め続けるサラームさんからは、最新の食のトレンドを敏感に察知し、楽しまれている様子が伝わってきます。

僕はもともと音楽業界の人間なので、流行のもので生きている、いわばチャラチャラした人間なんです(笑)。僕が扱うのはワールドミュージックでその中には伝統音楽も含まれますが、音楽ってモードが1、2年でガラリと変わって、ある瞬間にカッコ悪かったものが急にカッコよくなったり、その逆もあったり。

料理にもそういうところがあって、ある食材が世界的に急にガーっと流行る時があります。今だとタコやビーツ、ザクロがそうです。タコは今までは「デビルフィッシュ」と言って気持ち悪がられていた食材でしたが、「タコがイケてる」という瞬間が訪れて、世界的にタコを使う人が増えてきました。そういう変化はすごく楽しいですよね。

ビーツも今は世界的に流行の食材で、いろいろな地域で使われますね。実は日本にも「火炎菜(かえんさい)」という名で何百年か前に入ってきていたそうなんですが、日本人は赤い食べ物が苦手で使われなかったらしいんです。この何年かで日本でもビーツは人気の食材になり、日本のビーツ農家さんのレベルもすごく上がってきました。

また絶対に食べたい!美味すぎる料理

――本書ではインド、シンガポール、マレーシア、イスラエル、ギリシャ、トルコ、ポーランドでサラームさんが「美味すぎる!」とうなった、今人気のレストランと料理の詳細が情景豊かに紹介されています。「また絶対に食べに行きたい料理」ベスト3を教えてください。

どれも美味しいので本当に難しいのですが、強いて挙げるならこの3つでしょうか。

1. インド・チェンナイのレストラン「アーヴァルタナ」のインディアン・フュージョン料理のフルコース

全13種類のメニューからなるノンベジタリアンのコース。各国の料理がボーダレスに混ざり合う 、「融合」を意味するフュージョン料理。アイディアが光るここでしか食べられない最新のインド料理が楽しめる。

コースの締めには鳥の巣と卵を模したデザート。殻はホワイトチョコ、白身はフェンネル味のパンナコッタ、黄身はマンゴージャム
コースの締めには鳥の巣と卵を模したデザート。殻はホワイトチョコ、白身はフェンネル味のパンナコッタ、黄身はマンゴージャム

2. ギリシャ・サントリーニ島のフュージョンレストラン「ラ・メゾン」のタコの炭火焼き

海に突き出たテラス席で食べる極上のメインディッシュのタコの炭火焼き。タコにナイフを入れるとスルッと切れてしまうほどに柔らかい。

ルビー色に輝く柔らかいタコの炭火焼きは、ベルガモットの香りと甘味、黒オリーブの渋み、ほろ苦いハーブの風味が多層的に訴えかけてくる
ルビー色に輝く柔らかいタコの炭火焼きは、ベルガモットの香りと甘味、黒オリーブの渋み、ほろ苦いハーブの風味が多層的に訴えかけてくる

3. シンガポールのレストラン「ジャンボ・シーフード」のチリ・クラブ

チリソースにはトマトとサンバルソース、赤唐辛子、溶き卵、さらに蟹の内子が絡めてあるようで、強烈な旨味がある。

極太の爪を持つ「マッドクラブ」は日本のワタリガニよりも大きく殻が分厚い。殻を割って実をチリソースに絡めて食べる
極太の爪を持つ「マッドクラブ」は日本のワタリガニよりも大きく殻が分厚い。殻を割って実をチリソースに絡めて食べる

さらにプラスしていいのであれば、シンガポールのレストラン「ムトゥーズ」のフィッシュヘッドカレー。僕はいろいろな国や場所でカレーを食べているつもりですけれど、これは夢に出てくるくらい美味しい!このカレーのためだけにシンガポールに行く価値があると思っています。

巨大な「レッドスナッパー」のお頭がオレンジ色のカレーに沈み、オクラとパイナップルの切り身と香菜(パクチー)がアクセントを添える
巨大な「レッドスナッパー」のお頭がオレンジ色のカレーに沈み、オクラとパイナップルの切り身と香菜(パクチー)がアクセントを添える

サラーム海上流「タッブーレ」レシピ

――料理教室も行っているサラームさん、日本の家庭で作れるおすすめの中東料理のレシピを教えてください。

レバノン料理の「タッブーレ」というイタリアンパセリのサラダを紹介します。フランスには「タブレ」というサラダがありますが、それはほぼクスクスのサラダで、本場の「タッブーレ」とは違います。

レバノン人がタッブーレを世界にきちんと広めるために「ナショナルタッブーレデー」という日が作られ、そこで開催されたコンテストで2010年に優勝したジョルジーナさんという方に習ったのがこのタッブーレになります。

イタリアンパセリのサラダ「タッブーレ」
プランターでバサバサと育つイタリアンパセリをたっぷり使った夏の定番サラダ 「タッブーレ」 。材料の比率はパセリ7:トマト2:玉ねぎ1:ブルグル1、そしてミント少々

ポイントとしては、イタリアンパセリは一方向からそぎ切りにすること。「みじん切りにしてはいけない、繊維がつぶれる」とジョルジーナさんに言われました。そぎ切りにすると食感が全然違います。

サラーム流アレンジとして、各土地の柑橘類、柚子やすだちを入れると味が際立ちます。レモン汁は地中海のレモンとは味が違うので、隠し味にオレンジジュースを加えています。

ブルグル(挽き割り小麦)の代わりにキヌア、蕎麦の実、フランスのサラダのように炊いたお米を洗ってぬめりを取ったものを入れてもいいですね。

<タッブーレの作り方>

イタリアンパセリのサラダ「タッブーレ」材料

<材料 2人分>
イタリアンパセリ:100g
スペアミントの葉:10g
完熟トマト:1個(またはミニトマト:250g)
ブルグル(細挽き):大さじ1
紫玉ねぎ:1/6個 
レモン汁:1と1/2個分(70ml)
塩:小さじ1/3
100%オレンジジュース:大さじ2(柚子やスダチなど地物の柑橘で代用可)
EXV(エキストラバージン)オリーブオイル:大さじ3
7スパイス:小さじ1/2(レバノンのミックススパイス、なければオールスパイス、ナツメグなど甘みのあるスパイスで代用可)
こしょう:小さじ1/2

<手順>
1.イタリアンパセリは葉を一方向からそぎ切りにする。スペアミントも飾り用の一枝を除いて細切りにする。トマトはへたを取り、5mm角に切る。玉ねぎはみじん切りにし、ボウルに入れ、塩少々をふっておく。ブルグルは小皿に入れ、レモン汁大さじ1を絡める。

2.大きなボウルに①を入れ(飾り用にトマトを少しとりわけておく)、残りのレモン汁、EXVオリーブオイル、オレンジジュース、7スパイスを加えて混ぜ合わせ、塩・胡椒で調味し、ラップをして冷蔵庫で30分以上冷やす。器に盛り付け、取っておいたトマトとスペアミントで飾る。

タッブーレのレシピは動画でもチェック!

――最後に、コロナが収束したら行きたいサラームさんの“ツギタビ”を教えてください。

10月下旬にハンガリーのブダペストで行われるワールドミュージックの見本市があるんですが、それに行けるのであればブダペストに行った帰りにポーランドのクラクフに行って肉料理を食べたいですね。

クラクフは豚のバックリブをそのまま焼いているもの、ソーセージ、牛肉ももちろんありますし、キノコも何でもおいしい。何といってもポルチーニが安くて、イタリアのものよりも匂いが強いけれど、その分の出汁が出て美味しいのでおすすめですよ。

【プロフィール】 サラーム海上
音楽評論家、DJ、講師、料理研究家。明治大学政経学部卒業。中東やインドを定期的に旅し、現地の音楽シーンや周辺カルチャーのフィールドワークをし続けている。著書に「おいしい中東 オリエントグルメ旅」「イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅」「MEYHANE TABLE 家メイハネで中東料理パーティー」「プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行」「エキゾ音楽超特急 完全版」「21世紀中東音楽ジャーナル」「MEYHANE TABLE More! 人がつながる中東料理」他。
近況・最新情報は「サラームの家」

サラーム海上が中東をはじめとした取材旅行を中心に様々な出会いを綴った連載コラム「旅とメイハネと音楽と」は、双葉社が運営する旅の達人たちによる本物志向の旅サイトTABILISTAで楽しめる。

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August 26, 2020 at 04:00PM
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