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抽象画を料理で表現 熊本・坂本善三美術館 地元飲食店とコラボ - 西日本新聞

 郷土の画家の作品をモチーフに、地元の料理人が作る新メニューは? 熊本県小国町の「坂本善三美術館」で3月15日まで開催される収蔵作品展「おいしいもので作る善三展」の期間中、町内の飲食店が協力し、展示作品から着想を得た料理を提供している。

 同町出身の善三(1911~87)は、阿蘇の大景観を見つめる中、抽象画の画風を確立した。作品を収蔵展示する同美術館では、視点を変えながら作品を読み解き、再解釈する取り組みを続けており、今回の企画もその一環。メニュー開発には19店舗が参加した。

 「○」と「-」で描かれた「水墨抽象」から生まれた料理は椀(わん)ものの和食。イカスミで味付けしたご飯を、スッポンの身が入った卵豆腐で丸くくるんだ。考案したのは杖立温泉旅館3代目の穴井太一さん(36)。「料理人はスッポンのことを円(まる)と呼ぶことから、イメージが膨らんだ」と話す。

 油彩「作品80」から生まれたのはパン。大分県から移住して店を営む佐藤ゆみさん(52)は「独特のグレーが最初、戦争をイメージさせ、悲しく思えたが、やがて春を待つ小国の雪に見えてきた」。ホウレンソウのソテーを雪に見立てたチーズで覆い、調理パンに仕上げた。

 善三は愛煙家で、親族がブラジルに移住していたことから、コーヒーは「ブラジル」を好んだ。ライターの火を思わせる油彩「炎」からは新たな洋菓子が作られ、コーヒーと一緒に楽しめるという。

 企画した学芸員の山下弘子さんは「美術館で絵を見てから店を訪ねても、店で味わってから絵を見てもいい。散策しながら、五感を使って作品も料理も味わってもらいたい」と話す。

 同美術館は全国でも珍しい畳敷きで、3月2日には善三も使ったとされる膳を使い、新メニュー一式が味わえる催しもある。定員10人、参加費2千円。2月10日までにメール=sakamotozenzo@gmail.com=で申し込む。

 2月8、29日、3月15日は、展示室奥が喫茶コーナーになる。同美術館=0967(46)5732。 (佐藤倫之)

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February 06, 2020 at 12:14PM
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